江戸東京たてもの園

小金井公園内にある江戸東京たてもの園は江戸東京博物館の分館として、文化的価値の高い江戸時代から戦後までの歴史的建造物30棟を復元・保存・展示している施設です。
たてもの園入り口のビジターセンターからして1940年(昭和15)に皇居前広場で行われた紀元2600年記念式典のために仮設された式殿「旧光華殿」です。
ビジターセンターを通り抜け、すぐ右手にあるのは”だるま宰相”高橋是清の邸宅。あの226事件では当時赤坂にあったこの建物の2階で高橋是清が暗殺されました。表面が波打った古いガラス窓が良い感じ。
高橋是清邸の庭を通り抜けた先には派出所と路面電車があります。
左手にイオニア式の列柱を並べた個性的なファサードの商店建築「村上精華堂」
その先は看板建築が並んでいる通り。突き当りの奥には銭湯の建物があります。
看板建築とは、建築史家藤森照信さんが命名した関東大震災後に商店などに多く用いられた建築様式。建物前面を平坦として(軒を前面に出さない)モルタルや銅板で仕上げて装飾をつけた建物を指す。和洋どちらとも分類できない独特の味があります。
大きな唐破風が東京の銭湯建築の特徴ですがそれにしても立派な作りの子宝湯。脱衣所は折上格天井になっていて、玄関上には七福神の彫刻があります。浴室にはモチロン富士山の絵。
ビジターセンターまで戻り逆側の西ゾーンへ。大正~昭和初期のモダンな建築が3軒並んでいます。
バーゴラが印象的な「田園調布の家(大川邸)」。1925年(大正14)田園調布に建てられた住宅。洒落てますね。
コルビュジエに師事した日本近代建築のパイオニア・前川國男の自邸。戦時中に建てられ、制約の多い中にあっても和と洋の要素が融合したシンプルでモダンな建築となっています。中央部が吹き抜けになっていて、とても心地良い空間。
日本におけるモダニズム運動を主導した建築家堀口捨己が、ヨーロッパ旅行からの帰国直後の1925年(大正14)に設計した住宅「小出邸」。水平の陸屋根にピラミッド状の方形の屋根が突き刺さっているような造形が面白い。
道を挟んだ向かい側に建つコーナーアールが特徴的な常盤台写真場。2階スタジオの北側は採光の為に一面の大きな摺りガラスがはめこまれています。

ひときわ立派な洋館・デ・ラランデ邸は、元は平屋建ての洋館でしたが、1910年(明治43)年ころ、ドイツ人建築家ゲオルグ・デ・ラランデにより3階建てとして大規模に増築されました。
1階とテラスはカフェ「武蔵野茶房」として営業していて喫茶や食事を楽しめます。従業員の制服もメイド風で可愛い。
園内には他に看板建築の通りに武蔵野うどんの店があります。